動物愛護法の改正で耳にする、「8週齢規制」について知りたい飼い主さんへ。
「 動物愛護法の改正で注目されている8週齢規制って言葉だけ知っているけど、内容は分からない。」
「子犬を販売するまでに何週間か親から引き離しちゃいけないのは知っているけど、具体的な理由とかは知らない。」
こういった疑問に答えていきます。
✔本記事の内容
1.8週齢規制ってなんのこと?
2.日本犬だけ適用が除外される理由
こんにちは、柴犬系ブロガーのユタカ(@titlemaker_ytk)です。
今年、2019年5月22日に動物愛護法が改正されました。
その内容は大きく分けて3つあるのですが、まずは改正に伴って変更された内容をざっくり紹介していきます。
◼️動物愛護法の改正内容
①ペットに対する「マイクロチップ」埋め込みの義務化
②動物虐待に対する罪の厳罰化
③子犬は生後56日以降販売
今回は③子犬は生後56日以降販売について紹介をしていきます。
①ペットに対する「マイクロチップ」埋め込みの義務化については、「飼い犬にマイクロチップ埋め込みが義務化されます【活用方法を解説】」で紹介しています。

また、②動物虐待に対する罪の厳罰化については、「犬は法律上、どんな扱いを受けるの?【動物愛護法の改正で有利に!】」で詳しく紹介しています。
気になる方はご覧になってみてください。

1.8週齢規制ってなんのこと?

1-1 生後8週は子犬の販売禁止
8週齢規制とは、生後56日間は子犬の販売を禁止する法律のことです。
1-2 8週齢規制を行なう理由
理由は以下のとおりです。
■56日間、販売を禁止する理由
①免疫力が高まるのを待つため
②成長した後の問題行動を予防するため
このように、生まれてから早い段階で、親から引き離されてしまった子犬は問題行動を起こす傾向があります。
問題行動とは以下のとおりです。
■早期販売されてしまった子犬の問題行動
・飼い主を噛む
・ほかの犬に対して必要以上に吠える
動物先進国の欧州や米国では最低8週、56日が経過しないと販売が出来ないと明確に法律が定められており、強力な規制が設けられています。
1-3 日本は動物後進国
しかし、動物後進国とも言える日本では規制が機能していません。
日本でも56日が経過しないと販売できない旨が法律に定められています。
それにもかかわらず、実際の現場では「付則」と呼ばれる例外措置によって7週、49日で販売されてしまっています。
これを明確に8週齢規制という形で規制を強め、子犬の免疫力を担保し、問題行動を予防しようというのが今回の動物愛護法改正の流れです。
2.日本犬だけ適用が除外される理由

2-1 「付則」で日本犬6種が規制から除外?
しかし、規制に逆流するかのように、日本犬6種だけは8週齢規制から外す方向で、またも「付則」による例外を適用する話が進んでしまっています。
日本犬とは、全6種類の日本由来の犬種のことです。
■日本犬の全6種類
・柴犬
・紀州犬
・四国犬
・北海道犬
・甲斐犬
・秋田犬
2-2 日本犬だけ除外される理由
日本犬を規制から外すように求めているのは、公益社団法人「日本犬保存会」です。
「日本犬のためを思えば、8週齢規制からわざわざ日本犬を除外する意味はないんじゃないの?」
公益社団法人「日本犬保存会」が日本犬6種を8週齢規制からわざわざ除外を求める理由は以下のとおり。
■日本犬6種を8週齢規制から除外する理由
・天然記念物の保存
日本犬保存会は、除外を求める理由について詳細を伏せています。
その為、これは憶測になってしまいますがぼくの見解を述べます。
■日本犬を8週齢規制から除外するロジック
・日本犬を保存するには多くの飼い主に飼ってもらう必要がある
・子犬を買いにくるお客さんはできるだけ幼齢の子を求める
・1週間販売をおくらせることは販売の機会を喪失することになる
このロジックでは「いや、おかしいでしょ」と思う方が少なくないかと思います。
たしかに、そもそもの前提からロジックが崩壊していることが分かるのではないでしょうか。
つまり、子犬を求める新しい飼い主さんが、8週齢規制の意味を正しく理解していれば、わざわざ56日を経過していない子犬を買うことはありません。
そうすれば、規制を無視して生後49日から販売している業者は自然と淘汰されていきます。
ですが、実際の現状として、8週齢規制の意味を正しく理解している方は、本当にごく一部でしょう。
そのため、販売を49日から56日に1週間遅らせることで売れなくなってしまう子犬が存在することは非常に残念ながら事実です。
結果として、日本犬を保存するために実情を捉えた日本犬保存会は日本犬6種の8週齢規制を適用外とするよう求めていると考えられます。
2-3 動物愛護団体は反対
これに対し、動物愛護団体は反対運動を行なっています。
8週齢規制から適用を除外することを取り消すよう求める署名を集めており、わずか2日間で20,000を超える署名を集めました。
最終的に集まった署名の数は27,506筆。これを十分と考えるか、まだまだ少ないと捉えるかは考え方によって異なるでしょう。
現在の論点は生後49日と生後56日が経過した時点で販売した子犬に問題行動が発生する、という指摘にたいして、統計学的な根拠が存在するのかどうかが注目されています。
現在は早期販売が子犬の問題行動を発生させることが前提で反対運動が起きています。
もしも今後、1週間の販売期間の違いに問題行動を起こしやすくなるという相関がない(=根拠がない)という統計学的な論文が提出されれば、事態は大きく動くことでしょう。
今後も動物規制法の論争に注目です。

僕は愛犬のゴエモンを飼っていたときの経験を元に、犬を飼うときのノウハウをこういった形で毎日配信しています。
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